

ベネッセコーポレーション広報・IR部課長 坂本香織さんを講師にお招きして、女子大生のためだけに開催したこのセミナーは、いつもに増して大盛況でした!ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!!
転職も経験されている坂本さんの話は、これから社会に出て、様々な困難を乗り越えなくてはならない大学生の皆さんには、たいへん参考になったのではないでしょうか。
以下には、当日の要点をご紹介します。
【略歴】
お茶の水女子大学中国文学科卒業後、大手生命保険会社に就職。その後、ベネッセコーポレーションに転職し、現在に至る。
本日のお話では、これから社会に出ていくみなさんに、私が経験してきた業務のお話を通じて、おもに3つのことをお伝えできればと考えています。
1.私の経験してきたいくつかの「職種」について
2.ベネッセコーポレーションについて
3.私が仕事やキャリアについて考えていることについて
何か、ほんの少しでも、お役に立つことがあればよいと思っています。
高校で英語教師をしている母が毎朝出勤する姿を小さい頃から見ていたため、社会に出て仕事を持つことは、自分にとって自然なことでした。親戚に教育関係者が多いのですが、私は「今自分が知らないことを知りたい、見たことのない世界を見てみたい」という好奇心が非常に強かったので、大学に入学したときから「一般の企業に就職したい」と考えていました。
大学時代は、「企業で働く」というのがどのようなことなのか体験してみたい、という気持ちから、大学の近くにある大手出版社や大手ゼネコンで、比較的長くアルバイトをしていました。当時はインターンといったしくみはほとんどなかったので、企業でのアルバイトは非常によい体験でした。そういった中で、働く方たちの姿を見て、「やっぱり一般企業に就職しよう」と決めました。
大学では文学部で中国語を勉強していましたが、金融機関を第一志望と決めたので、就職活動でうまくいくか正直不安もありました。また、ちょうどバブルがはじけた後で、就職がかなり厳しい時期でもありました。ですから、就職活動をかなり熱心に行いました。
幸いにも、希望どおり、大手生命保険会社に総合職として入社することができ、配属されたのは、運用を行う融資業務部という部門でした。比較的規模の大きい企業に向けて、融資を行っている部門です。私の担当業務は、融資に関連する出金や入金の状況や会計処理を管理することでした。業務上、金融・企業会計・貸し付けなどに関する知識が必要だったので、日々かなりハードに勉強しました。 また、当時、先輩や上司に、ビジネスパーソンとしてのマナーや、組織の中でのコミュニケーションの取り方など、社会人としてのありかたをさまざま丁寧に教えていただきました。
その後、私は現在の会社に転職をしましたが、最初の会社で身につけた、社会人としての基礎や、会計に関する知識が、その後の私をずっと支えてくれていると考えています。
保険会社での仕事は学ぶことも多く、たくさんの良い先輩のいる恵まれた環境でしたが、社会人3年目の頃、自分のやりたいことや、向いている仕事はなんなのかと、改めて考えるようになりました。今思えば、目の前の仕事に精一杯で、さまざまな視点で、自分の仕事をとらえ、さらなる興味を持つ、ということができていなかったのかもしれません。
この結果、転職を決め、現在のベネッセコーポレーションに入社しました。ベネッセに入社したのは、まず、「人々のよく生きることを支援する」という企業理念に強く共感したからです。また、教育を中心とした事業内容にも興味がありました。入社してみて、ベネッセでは、企業理念が社員一人ひとりに浸透していること、たとえば「どのような教材をつくれば、よりわかりやすいだろう」「どうしたら楽しく勉強できるだろう」といったことを、顧客の視点で徹底的に考える、といったことに非常に感銘を受けました。
<企画・編集業務>
まず入社して「進研ゼミ中学講座」の企画・編集を行う部門に配属になりました。「進研ゼミ」は中学生向けの通信講座で、毎月教材のセットが自宅に送られてきて、さらに課題を提出すると「赤ペン先生」が添削してくれるシステムになっています。
編集者の仕事は「一から企画すること」から始まります。たとえば、中1講座の企画・編集チームでは、「中学校1年生が、勉強や課外活動も含めて、1年間どのようなことをして、どのような状態・気持ちになって中学2年生になれるとよいのか」ということを検討し、そのために「4月号はどのような内容にするのか」「5月号をどのような内容にするのか」といった流れで企画や計画を立てていきます。そして実際毎月、教科学習のページや特集のページをつくり込んでいくのです。
ベネッセの企画・編集の業務プロセスには、マーケティングの視点やノウハウがかなりとりいれられています。たとえば、お客様の状況や気持ちなどをきちんと把握したうえで企画をたてるため、定量調査や定性調査を非常に頻繁に行います。PDCAサイクルも、綿密に回し、商品・サービスのレベルアップを、常に図っています。この仕事で身につけたマーケティングの知識やものづくりのノウハウは別の業務でも活かすことができると思っています。
私は、中学講座の企画・編集の仕事を、約5年半担当しました。国語のページの企画・編集担当でしたが、後半は中学講座全体の企画などにも携わり、毎年、業務の幅が広がった5年間でした。
<IR:インベスターリレーションズ>
その後、次のキャリアのステップとして、会社全体について、理解を深めたいという思いがあり、自分で異動先を希望することができる社内制度を利用して、財務・IR室のIR担当となりました。
IRは「インベスターリレーションズ」の略で、投資家対象の広報活動のことです。IR担当は、決算説明会やその他の場で、投資家の方に、会社の業績や経営戦略、事業活動の状況などについて説明し、理解していただくのが主な業務です。投資家の方にきちんと説明するためには、もちろん自分自身が会社の資料をさまざま読み込み、把握する必要があります。私にとっては、改めて企業会計について学ぶとともに、ベネッセ全体は企業としてどのような状況にあるのか、自分が担当していた「進研ゼミ」以外の事業ではどのような活動を行っているのか、など広く学ぶステップとなりました。
<経営企画>
1年ほどで、今度は、経営企画部という部門に異動となりました。これはグループ全体の経営戦略を立案する部門です。当時私以外は全員が男性でしたが、経験豊富な彼らが経営戦略に関して話していることを聞いても、私はあまり理解ができず、最初はあせりました。ただ、その頃はまさに、ベネッセの中で大きな経営改革が行われようとしている時期であり、「企業経営」ということについてもっと知りたい、という興味が私の中に強く湧いてきていました。そこで、実務の中で同僚たちに企業経営に関するさまざまな観点を教えてもらいつつ、週末には企業経営に関する学校に通い、さまざまな企業の人とディスカッションしたりレポートを書いたり、ということを重ねました。
経営企画部で担当したのは、取締役会・経営会議の運営業務や、ベネッセの経営戦略・方針を社内外にコミュニケーションする業務です。最初こそ不安があったものの、仕事も勉強も楽しく感じられるようになっていき、2年間経営企画部で仕事をしました。
<広報>
その後、現在の広報・IR部で、今度は対外的な広報を担当するようになり、現在4年目です。メディアリレーションが主な仕事です。広報担当は、会社のことをメディアを通して、的確に社会に伝えるという責任の大きい仕事ですが、そこにやりがいを感じています。伝える内容は、会社の方向性や経営戦略、個別の事業内容、具体的な商品など多岐にわたります。
これまで私が経験してきた、すべての仕事が役に立って、現在につながっている、ということを強く感じています。
まずは、基本データから。ベネッセコーポレーションの社員数は単体で3千名ほど。男女比は4対6と女性のほうが多い会社です。平均年齢は34.9歳。ワーキングマザーの比率は女性の4分の1程度。管理職比率は男女比6対4。女性の役員は9名です。
ベネッセは「女性に優しい会社」ととらえられることがあります。ベネッセグループの基本的なスタンスとして「人材が一番の財産である」という考え方があります。「社員が頑張り、充実した仕事が出来れば会社の成果につながる」という考えのもと、男女均等処遇を原則としていますので、「特別女性に優しい」というわけではありません。ベネッセで感じるのは「男性も女性もほんとうに垣根なく仕事をしている。仕事をまかされている。」ということです。これはたいへんによい環境だと思います。
昨今「ワークライフバランス」という言葉をよく耳にしますが、これから人口が減り、働き手も減ってくるので、女性に働き続けてもらう方が企業にとってもメリットがあるわけです。企業も女性をサポートするために出産・育児支援制度など、様々な制度を充実させてきています。ベネッセは制度があるだけではなく、実際によく活用されているというのが特徴です。
<みんなで登山型のキャリアから、オンリーワンのキャリアへ>
これまで私の経験した仕事についてお話をしましたが、私が感じるのは、一見直接的にはつながっていないような業務・経験でも、それは必ず積み重なっている、ということです。私が最初の保険会社で学んだことも、すべて今のベネッセでの仕事に生きています。
昔は、皆が山の頂上を目指して同時にスタートし、係長、課長、と少しずつステップを上っていく、という登山型のキャリア、というものが主流でした。しかしながら今は、必ずしもそうではなく、自分ならではの経験を積み重ね強みをつくる、オンリーワンのキャリアを作る、そんな社会になっているのではないでしょうか。
<勉強すること・現場で学ぶことをいったりきたりする>
きっと誰もが、仕事が順調だと感じるときばかりではないのではないでしょうか。私は、自分の仕事に天井感を感じた時には、とくに集中して勉強をすることにしています。実務の現場で学ぶことは第一ですが、実務で行っていることを体系的・理論的にとらえること、周辺の知識を身につけることも同時に大切です。現場と勉強の行ったり来たりをすることで、仕事における自分の次のテーマを見つけたり、業務の品質をレベルアップすることができます。
<「聞きたい」と思って聞く 物事の本質をとらえる>
広報の仕事をする中で感じていることですが、広報の業務が上手な人は、「話し上手」ではなく、「聞き上手」だということです。相手の言いたいことが何なのか、その背景・ロジックがどうなっているのか、常に話の核心を捉えるよう注意深く聞く。相手の気持ちを理解して聞く。そうすることで、こちらからの意見も上手に伝えることができ、コミュニケーションが発展します。
また、先輩や後輩、仕事の中で出会うさまざまな人の話を傾聴することで、自分は持っていない知識・観点・発想力を広げることができます。
<お日様の下で 平らかな心で勝負する>
そして、最後に、自分で「よいと思うこと」を、自信を持って言うこと、実行することはすごく大切だと思っています。お日様の下で――つまり、こそこそしたりしないで、正々堂々と。平らかな心で――つまり偏った視点ではなく、公平なバランスよい視点で、自分にも人にもきちんと説明ができるような状態でいること。これを心がけていれば、絶対に仕事の中で、負けることはないと思っています。
本日は私のつたない話を聞いてくださって、どうもありがとうございました。
みなさんが、それぞれのオンリーワンのキャリアを作っていけることを、応援しています。